2012年12月31日月曜日

にょろ〜っと蛇伝説①

「もう、疲れちゃった」
とバカラのグラスに入ったウイスキーをくいっと飲み干した。

「そうか。でももうすぐのんびりできるさ」
と僕は冷蔵庫からサラミを出す。
きゅうりを薄くきり、サラミも同じように切る。
それを鱗のようにウェッジウッドに盛りつける。
辰子が、お腹がすいているだろうと思いさっとサンドウィッチも作る。
食パンの耳を丁寧に切り落とし、パンに薄くバターを塗り先ほどのあまったきゅうりを乗せる。その上に明治屋で買ったチーズを乗せたものを辰子に渡す。

「どうすんのよ?私の稼ぎがなきゃこの高級マンションもう住めないわよ!?」
辰子は、ウイスキーをグラスになみなみと注ぐ。
「でも、1年がんばったじゃないか。これ以上は無理なんだからゆっくり休めよ。俺、バイトでもなんでもやるからさ」
ソファに腰掛けている辰子の隣に座り肩を抱く。
「いや…いやよ…。この生活続けなきゃ意味ないわ…。兎くんみたく上手くやればよかったわ…。白金マダムに媚び売ってお店出させてもらってんだよ!兎のステーキ屋さんだって!馬鹿じゃねーの?草食に肉の味、わかりますか?っての!うおお!」
ゴンと荒々しくグラスをテーブルに置く。

ヤバいな…。
荒れてる。
まずいな…。

ギロリと僕をにらむ辰子。

「そんであんた。いつ働くの?ええ?」

「ご、ごめん。すぐ仕事見つけるからさ」

「すぐ、じゃないわよ。今よ!」


気がつくと、携帯と財布だけ持ってマンションを飛び出していた。
まいったなあ。こういう時は鼠先輩に電話だ。

「おう。仕事?面接行けよ。紹介すっからさ」

先輩に紹介されて、なんとあの面接に行けることになった。

時間ギリギリだ。

鼠先輩にメールしてもらった住所の建物にいくと、面接と受ける者、面接が終わった者で溢れかえっていた。
そうだよなー。あの人にも会えるわけだしな。と用意されたパイプ椅子に座る。

「それでは次」
ふいに呼ばれ、パイプ椅子から飛びあがる

「は、はははい!よろしくお願いい、いたします!ぼ、僕には時間がありません!どうか僕を来年の…つかもう明日なんですがっ。来年の干支にしてもらえませんか!」


「おほほほほほ。君、名前は?」


「あ!すみません!ヘビです!」