ドヤ顔でマイク(ないけど)持ったオタク男子、
ぼーぜんとたたずむB−BOY、
と、
私たち。
地獄のような時間が流れた。
「お前」
とB−BOYが口を開く。
「お前、やるじゃん!つか、フリスタめっちゃ上手いじゃん!」
とオタク男子の肩に手をまわす。
「そそそそそそそーすか」
と震えるオタク男子。
「マジ、やられたよ。」
がっつりと握手する異種男子たち。
「いやあ。そ、そんな。自分フリースタイルじゃないす。事前にめっちゃ仕込んでたす。
そちらさんみたく、自然と出てこないす。さすがに。所詮コピペ脳す。」
とまんざらでもないオタク男子。
「バイブス半端ねえし。」
「ははははは。そうすか。本当は、タイバニとまどマギで韻踏みたかったすけど知らない単語で韻踏むのってナンセンスかと思いまして」
「まどマギくらい知ってるつーの」
「まじすか。ヤバいす。」
「劇場版は、観てねーけどアニメのダイジェスト版だからみなくておk?」
「やばいす。」
もう会話だけではどちらがどちらかわからなくなるほど盛り上がっている。
「ちょっとお。私はどうなんのよお…」
とやっとのことで声を出す鳩子。
「もーあっち行こ」
二人で男子たちの側を離れる。
ふらふらと歩く鳩子を支えながら他のアンドロメダ高生を探す。
「ちょツとお。ぁんたぁ」
と声をかけられた。
振り向かなくたってわかる
面倒くさいことになるなーって。
※フリスタ 「フリースタイル」台本、歌詞のようにあらかじめ考えられた物ではなく
相手の出方をうかがいつつ悠長に繰り広げるラップ。相当な鍛錬が必要。フリースタイルのことをフリスタと略すことを嫌うB-BOYもいるのでストリートでは迂闊に使わないように。
※まどマギ 「僕と契約してOOになってよ」のOOに、誰が一番面白いこと言えるかなみたいな時ありませんでしたか。