「じぇじぇ!」
と水炊きは叫んだ。
「え?俺に味噌入れちゃうんすか?」
ベンアフレックは何を言っているのかわからないと言う風に両手を上げた
「パードン?」
「え、だから。俺に味噌とかヤバいでしょ?言ってることわかるかなー」
はっきり言って、ベンは味噌が味噌であるということすら知らなかった。
どっちでもいいのだ。
早く、家に帰ってシャンパンを飲みたい。
水炊きとうっかり知り合いになってしまった。
そこから歯車が狂ってしまった。
こんな狭いアパートで悪魔のような食べ物を食べさせられるなんて。
「パードン?」
ベンは、敵意を込めた瞳で水炊きを睨んだ。
水炊きは、ぎょっとした。
さすが、ハリウッド俳優だ。
目力で、お鍋が割れてしまいそうだ…
俺が割れたら、鱧が…おもちが…春菊たちが路頭に迷う事に…
ベンのいら立ちはもう頂点に達していた。
もうダメだと水炊きが諦めかけたその瞬間__
部屋のスピーカーから大音量でワムの「ラストクリスマス」が流れ出した。
すると、
オオ。ナイス。
とベンは一変して機嫌が良くなった。
水炊きは、オーディオのタイマーをセットしていたことを忘れていた。
助かった。
いいスピーカー買ってよかった…
このBOSEのスピーカー、素晴しい音だ
感謝しよう。このスピーカーを作った
アマー.G.ボーズ氏に。