あっちゃんの目の前に大きなバースディケーキが運ばれてきた。
「おめでとー!」
「ハッピーバースディ!!」
二人の親友がお祝いしてくれている。
とっても嬉しいはずなのだが、あっちゃんは落ち込んでしまった。
「あ、ありがと。あのさ…これさ…」
あっちゃんは、ケーキの上に乗っているチョコレートで出来たプレートを指差す。
「名前が…あーちゃんになってるんだけど?」
あっちゃんは、お祝いモードに水を差さないようにおどおどと声を出した。
「え?何?」
のっちが髪を揺らしながら聞き返す。
「えっと、だから、私の名前…あっちゃんなんだけ…」
「あのさあ」
あっちゃんが言い切る前にかしゆかが遮る。
「私たちが折角お祝いしてるのにあーちゃんなんか文句あるのっ」
「そーだよ…ケーキ、かしゆかが焼いてくれたんだよ?居酒屋の人に持ち込みは困りますって言われたけど無理に頼んでさあ」
しかしあっちゃんはこれまでも何度も抗議してきたのだ。
最初はギャグかと思ったけどここまで名前を頑に間違えられるのはもうごめんだ。
「でも私の名前はあっちゃんなんだから!名前間違えるならもう広島っ帰るけんっ!」
あっちゃんが、大声で二人に怒鳴ることはなかったのでのっちとかしゆかは驚いてしまった。
「ごめん。あっちゃん…」
「これからはあっちゃんって言うから、そんなこと言わないで」
三人は泣きながら手を取り合った。
やっぱり親友なのだ。
何があってもすぐ仲直りするのだ。
しばらくバースディプレートを見つめていたのっちが
「よし。のっちの「っ」をあげる!」
とプレートの「あーちゃん」の「ー」の上から、つの文字をえびマヨのマヨネーズをつまようじにつけて足した。
「これで、あっちゃんだ!えへへ」
「でも…のっちがのちになっちゃうよ…」
あっちゃんは、仲間の優しさでもう胸がいっぱいだ。
「いいんだよ。あっちゃんの今までの苦しみ知りたいんだよ」
三人は涙でお互いの顔が見えないほどだった。
「えい!じゃあ私もはずしちゃう!」
感極まったかしゆかはいきなり居酒屋の床をはずした。
「ちょっと〜〜かしゆか何してんの!迷惑〜!」
三人は大爆笑だ。
すると、下の階で飲んでいたサラリーマンが天井に穴が空いていることに気がついた。
しかも、その先に今はトキメクアイドル達がいたもので大変驚いた。
「やべー!」
「俺、CD全部持ってます!」
「すげーかわいい!!」
サラリーマン達は三人を見上げながら興奮しだした。
三人は、とってもいい気分だったのでちょっとサービスしてあげることにした。
「かしです!」
「あっちゃんです!」
「のちです!」
私たちは…三人あわせて…