2015年4月28日火曜日

バンドやろうぜ④〜ハム編〜

不可解な成り行きだったが、それでも音楽を続けられると思うと
嬉しくてたまらない。

神は、俺を見捨てていなかった!

牢屋では出会うことのなかった晴れ渡る青空を見上げて
とっとこは、Hamume の打ち合わせに向っていた。

どんなコたちなんだろう?
俺の曲を気にいってくれるだろうか…。

期待と不安で胸を膨らませ南青山の真ん中にある高級マンションの一室
のインターフォンを押した。

するとすぐに、
「はあい!」
と部屋の奥から声が聞こえた。ドアが開くと、
都内某有名お嬢様女子高の制服を着た驚くほどかわいい女の子3人がとっとこを迎えた。

「とっとこさんですか?初めまして!さあ、こちらへどうぞ!」

とっとこは、3人に囲まれ、思わずぽーっとした。
思わずむきっと前歯が出てしまうのをなんとか堪えながら、彼女たちの後について長い廊下を歩いた。

一番奥の部屋は信じられないほどゴージャスな空間だった。
とっとこがふかふかなソファに腰掛けると、横からそっと紅茶が出された。
とっとこの前に3人の少女が座る。

ロングヘヤのハム。
ポニーテールのハム。
ボブのハム。
皆、美しいハム少女たちだ。

「早速ですが、曲をお聞かせ願いますか?」
ポニーテールハム少女がニッコリと微笑む。
「は、はい!」
とっとこは、自作の曲を録音してきたCD−Rを渡す。

そして、ポニーテールハムはそれを両手で受け取り、高級オーディオにセットしてスイッチを押す。

ぽゆーん。しゃんしゃんしゃん。

イントロから美しく、かわいい曲でとにかくキラキラしたポップな曲だ。
歌詞は、とことん甘く歯ごたえのある恋愛ソング。
結構な自信作なのだがどうだろう…。
曲が終わると、しんと静まりかえった。

「どうでしょうか…」
おそるおそるとっとこは聞いてみるが
三人の顔は、少し困っているようだ。

気にいってもらえなかったか。

「とても素敵な曲だと思います。」
「え!?ありがとうございます!」

「でも。これじゃダメだわ。」
ロングヘアのハムはうつむいて言った。
「どういうことでしょうか…。」
とっとこは混乱してきた。
ポニーテールハムは悲しげな瞳をして語りだした。
「私たち、ハムの行く末をご存知ですか?
私たちは、今、高校3年生です。高校を卒業したハムは、新鮮ではないと判断され
ハムカツにされてしまいます。分厚い衣に覆われて、私たちはちりじりばらばらになるでしょう。」
ボブハムは泣き出して後に続けた。
「私たちは、小さい頃から立派なハムになるように英才教育を受けてきました。美しい肌色、ほどよい塩分。蝶よ花よと育てられてきたきたのに、ハムカツになる運命だなんて」
「ハムカツになったら誰が私たちの顔に誰が興味持ちますか?皆、ソースのことしか考えないわ。私たちが美しい姿でいられるのはあとちょっと。この姿を世間の皆様に覚えていただきたいの。そんな曲になりませんか?」
三人のハムは、身体を寄せ合って泣いた。
重なり合った3枚のハムは、夜露に濡れた薔薇の花のようであった。


とっとこは、目の前が真っ暗になるほどのショックを受けた。
どうやってマンションを出たか覚えていない。
気がつくと、家に向って走っていた。

こんな曲じゃダメだ!
思い出になる曲?それもダメだ!
彼女たちの未来を変える曲じゃなくっちゃ!
彼女たちはずっとハムでいたいんだ!

とっとこの目からは涙があふれ、いつのまにか4足歩行で全力で走った。

タタタ

人は俺を馬鹿にするだろう。
ハムスターがテクノ音楽を作るなんて歴史はない。
世の中は、彼女たちを罵るだろう。
ハムが、ライブハウスで歌うなんて前例はない。

でも、前例がないのが音楽のはずだ!
馬鹿にされたって貫き通すのが芸術のはずなんだ。


とっとこは自己表現だけで曲を作っていた自分を恥じた
そして、部屋に着くなり3日、食事も取らず寝ずに3曲を作った。




2015年3月26日木曜日

悪口その後に…

人の悪口を言うのはやめよう!!
絶対仕返しされるぞ!!

「悪口なんて気にしない」とか言われても信じるな!
仙人じゃあるまいし、許すわけないぞ!!



2015年3月18日水曜日

歌詞を書きました

3/25に発売される、ゆるめるモ!さんのHamidasumo! EP に私が書いた歌詞が3曲
くらい入っています。リード曲はポリシックスのハヤシさんです!!


聞こえる
難(なんと読みます)
1!2!かんふー!

という曲です。
1!2!かんふー!は、たけさんと共作です。でもほぼ私です。
たけさんの気持ちをくんで優しく柔らかく書いてみました。

たけさんは、出会った頃(大昔)から音楽が好きで
音楽を作りたいという気持ちをずっと消さずにいた人です。

私も、製作の灯火を消さずにいてよかったなと思います。

私は裏方としては、メンバーの皆さんやリスナーの皆さんに
豪華な気持ちにさせてあげることは出来ませんが、少しでも
美しい気分になってもらえるように、これからもがんばりたいと思っています。



もし興味がありましたら、ぜひ聞いてみてください。
ちょっと変わっていて、愛くるしい作品です!


2015年2月24日火曜日

バンドやろうぜ③〜ウインナー編〜

冷たい夜風で薄皮が凍り引きちぎれそうだった。
でも大丈夫。俺の薄皮は冷たさで張り裂けたことは一度もない。

俺は、熱い熱い湯でしか爆発しない。

そう。俺はトップ オブ ウインナー。

明日は、薄皮をパリっと破れるくらいライブハウスを沸き立たせてやる。
もう、生ゆでのライブなんかしたくないんだ。
見とけ!俺たちウインナーの真の実力を!

シャウエッセンは、アパートのドアを開けた。
大学に入学してから、ずっと住み続けているボロアパートだ。
フロトイレが別になっているのと
収納スペースが異常に多いので気にいっている。
でも、そろそろ新しい部屋に引っ越したい。
早く、音楽で生活していけるようにならなければ。

「おかえり」
部屋の中でトマトがにっこりと微笑む。
「来てたのか」
「うん。お腹すいたでしょ。山菜の炊き込みごはん作ったんだよ」
トマトはこたつからそろそろと出て台所へ向った。

シャウエッセンとトマトは1年前からつきあっており半同棲生活をしている。
トマトは、甲斐甲斐しく手料理を作ってくれる自慢の彼女だ。
いつも、相談に乗ってくれ励ましてくれるのもトマトだ。

「明日のライブ、観にいってもいい?」
「もちろん」
「ファンのコが嫌な思いしないように隅っこでみてるから」
「うん。まあ、別に、いいけど」

シャウエッセンは、お椀に盛られた炊き込みご飯を口に入れた。
トマトは、うつむき加減でパジャマ裾をいじっている。
最近、トマトはおどおどとして元気がないように思えた。

まあ、冬だしな。どうせ、夏になったら元気になるだろ。

シャウエッセンは、気にせずに食事を続けた。







2015年2月20日金曜日

バンドやろうぜ!②〜ハム編〜

ここは、地獄の監獄だ。
床は冷たく、出てくる食事は冷えきってとても食べられたものではない。
ここには何千と牢屋があり
それぞれ小さな部屋に閉じ込められた僕たちは、鉄格子から救いを求めてる。
さながらとうもろこしの身のようだ。

「ここから出してくれ!」

僕の叫びがむなしく響く。

「あのひまわりのタネが盗品だったなんて…知らなかったんだ」

涙が頬をつたい床を濡らす。
もう僕の人生はおしまいだ。

「おい。NO.10105!! 出ろ!」
ふいに現れた看守が牢屋の扉を開け、僕は首根っこをつかまれ廊下に放り出された。

「ほら! とっとこ歩け!」

訳が分からず、廊下を歩き、突き当たりのドアを開けた。
すると、そこには一人の高そうなスーツを着た老紳士が立っていた。

「君は、エレクトリックポップという音楽を創作できると聞いたのだが」

「え?」

状況が把握できずにいると、看守が隣にやってきて僕の太ももを鞭でぴしゃりと叩いた。

「答えんか!」

「はい!打ち込みの音楽を作っています!」

老紳士は、満足そうな顔であごを触った。

「そうか。では、君は今日からエレポップユニット Hamume のメンバーだ」

「ハムームって、まさか」

「うむ。Perfume みたいなかわいい曲を作ってくれたまえ」

「そんなこと急に言われても!」

僕は大声を出してしまったので、看守がまた鞭うちにくると身構えた。
だが、看守は僕の方を見ていなかった。

「では、暗く冷たい牢屋に戻るかね? 君に選択肢はないんだよ」
老紳士は、僕を見つめ微笑んだ。

「はい。わかりました」

そして、僕は解放されることになった。







2015年1月6日火曜日

SUImin City Destroyer が出たぞ〜〜

あけましておめでとうございますっ

https://www.youtube.com/watch?v=xukxJZQ2CX0

年末に、発売されたゆるめるモ!さんのCD
SUImin City Destroyer の歌詞を書かせていただきました。


好評発売中なので、ぜひお手にとってみてください。

なんか〜〜みんな歌上手くなってる〜〜とか親戚のおばちゃん状態で聞いております。

1 眠たいCITY vs 読書日記

nhnbaseのマモルさんの曲です。すんごく曲が難しくて大変でしたが絶対いい歌詞書きたいなと思って
がんばりました。ゆるめるモ!版千夜一夜物語みたくしたのですがいかがですかね。毎曲、いい曲にしない
と命がないみたいな…。でも実際の千夜一夜物語って超つまんないどうでもいい話しもありますけど…。

2 波がない日

夏のキラキラを感じる大星徹さんの曲は、好きな人が多いと思います!CDタイトルを聞く前に書き始めていたので、「ああ、なんか街って入ってるしいいかも」と思いました。そして他の曲にも「街」と「破壊」という言葉を入れることになります。色々をぎゅっと詰め込む樋口一葉スタイルでGO!

3 メルヘン

テーマがすぐ決まったのですぐ書けました。アイドルぽい歌詞にしようと心がけたんだけど…。
最後のへんのぐわ〜ってくる感じにハッとする台詞をのせたいと思ったのです。

4 NNN

これこそ、最短で書けました。ハシダさんの曲は聞いた瞬間言葉が思いつくので悩むことがないです。
日に日に最短で書けるようになってきた。こういう日に聞いたら絶対ハマるぞ!と思ったことがあるので
早く「こういう日」がくるといいな〜



そして、ゆるめるモ!さん次回作は、ポリシックスのハヤシ氏曲みたいです!
ヤバい!ううう!
私もポリシックス大好きだよ〜〜miamiのCD受け取っていただいたことも
あるんだけどもう忘れてるよね…。楽しみィィ!


今年もよろしくお願いいたします!

【2015年予定】
1/18(日) miamiライブ@吉祥寺shuffle 
1/20(火)ソロライブ@東高円寺UFOクラブ 
1/25(日) miamiライブ@新宿モーション 

ご予約はmiamikaikai@gmail.com まで







2014年11月26日水曜日

バンドやろうぜ!① 〜ウインナー篇〜

「ちょっと。ストップ!」
シャウエッセンは叫び、演奏を止めさせた。

明日はライブだ。
最後のバンド練習をするためにスタジオに集まるウインナー達。
シャウエッセンはギターの音色に違和感を感じた。

「森の薫り、おまえ練習してんのか?」
シャウエッセンは、ギターの森の薫りに詰め寄る。
「し、してるよ」
森の薫りは、シャウエッセンの顔を見ようとしない。
「全然、出来てねえじゃねえか。ギターソロ全然美味くねえ。そんなじゃ誰も俺たちを食べてくれねえよ!もっとジューシーに肉汁あふれる演奏しろよ!」
シャウエッセンは、怒りで茹でウインナーになりかけている。
ベースのアルトバイエルンとドラムの味わい造りが息を飲んで見守る。
「俺…」
森に薫りの目に涙が浮かぶ。
「俺…ギター嫌だ。ヴォーカルやらせてくれ!」
「またその話しか。それはダメだ」
即答するシャウエッセン。
「なんでだよ!お前ばっかずるいぞ!お前ばっか目立ってよお。結局俺たちががんばったってスーパーの店頭に並ぶのはお前だけじゃないか!」
「お前だって結構並んでるだろ!」
「ふざけんなよ…俺、森の薫りはいつも二番目だ。お前と比べられて、値段下げられて
2つセットで売られてる身になってみろ!!」
森の薫りは、泣き叫びながらシャウエッセンに殴り掛かった。
「喧嘩するなよ!」
ドラムの味わい造りが二人の間に入る。
「るせえ!離せ!」
「ギターを弾けっ!」
二人の喧嘩は収まらない。すると、それまで黙っていたベースのアルトバイエルンが
「皆、いい加減にしろ!」
と震えながら叫び、背負っていたジャズベースをそっと床に置いた。
アルトバイエルンが大きな声を出すことは珍しいので、三人ともハッとして喧嘩を止めた。
「いい加減にしろぃ…喧嘩する暇あったら練習しろ…明日の対バン誰か知ってんのかよ?
ハムだぞ!俺たちぜってえハムなんかに負けねえってやってきたけど最近、あいつら人気出て来てるの知ってるよな?聞いた話だと、ハム…あいつら今度のCDでチーズさんとフューチャリングするらしいぜ」
話しを聞いていた三人の顔色が青くなった。
「嘘だろ!チーズさん、俺たちとのコラボは断ったのに!」
「マジか…やべえ」
「客を取られるな」

「俺たちに、出来るのは熱い演奏だけだろ? 森の薫り、お前の気持ちはわかる。でもお客はシャウの甘い声聞きてぇんだよ。だけどな。お前のギターじゃなきゃそれも引き立たねえ。俺たちは、単品でも十分イケる。てことは4種類集まれば無敵だ!」

スタジオ中にウインナー達の熱気が集まりよりスモークされた。