2015年2月20日金曜日

バンドやろうぜ!②〜ハム編〜

ここは、地獄の監獄だ。
床は冷たく、出てくる食事は冷えきってとても食べられたものではない。
ここには何千と牢屋があり
それぞれ小さな部屋に閉じ込められた僕たちは、鉄格子から救いを求めてる。
さながらとうもろこしの身のようだ。

「ここから出してくれ!」

僕の叫びがむなしく響く。

「あのひまわりのタネが盗品だったなんて…知らなかったんだ」

涙が頬をつたい床を濡らす。
もう僕の人生はおしまいだ。

「おい。NO.10105!! 出ろ!」
ふいに現れた看守が牢屋の扉を開け、僕は首根っこをつかまれ廊下に放り出された。

「ほら! とっとこ歩け!」

訳が分からず、廊下を歩き、突き当たりのドアを開けた。
すると、そこには一人の高そうなスーツを着た老紳士が立っていた。

「君は、エレクトリックポップという音楽を創作できると聞いたのだが」

「え?」

状況が把握できずにいると、看守が隣にやってきて僕の太ももを鞭でぴしゃりと叩いた。

「答えんか!」

「はい!打ち込みの音楽を作っています!」

老紳士は、満足そうな顔であごを触った。

「そうか。では、君は今日からエレポップユニット Hamume のメンバーだ」

「ハムームって、まさか」

「うむ。Perfume みたいなかわいい曲を作ってくれたまえ」

「そんなこと急に言われても!」

僕は大声を出してしまったので、看守がまた鞭うちにくると身構えた。
だが、看守は僕の方を見ていなかった。

「では、暗く冷たい牢屋に戻るかね? 君に選択肢はないんだよ」
老紳士は、僕を見つめ微笑んだ。

「はい。わかりました」

そして、僕は解放されることになった。